灌漑施設の管理は、政府主導型管理から農民参加型管理へと移管される傾向にある。灌漑ガバナンスに特徴的な変化が見られたインドネシアのクランブ・ウィラルン幹線水路から灌漑水の供給を受けている34個の水利組合を調査対象とした。調査対象地においては、1990年以降、水利組合のガバナンスとしてSwakelolaとLelangの2つの統治形態が出現した。さらにSwakelolaよりもオークションを利用して組合長を選ぶLelang制度が増加傾向にあった。これは迅速なインフラ投資を志向する農家とその投資資金の提供と引き換えに水利費の徴収権を獲得できる組合長の利害とが一致しているからである。
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