家畜共済制度が収入保険の補償範囲を包含しており、同時にストックである乳牛の損失も補償するため、酪農家にとっては農業収入保険に加入する理由に乏しい。デンマークの家畜保険が保険的なのは経済理論に則った制度設計がなされているためである。わが国の家畜共済制度も設立当初は「保険」的であったが、戦後、リスクマネジメントツールとしての性格が弱まったと言える。 畜産経営を中心として、農業経営体の企業的性格がかつてないほど強まっている。そのため経営体を支える制度も企業的ニーズに合ったものであるべきであろう。リスクマネジメントツールとしての農業収入保険の役割がさらに注目されてしかるべきであろう。
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