研究課題/領域番号 |
18K06049
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研究機関 | 日本ビーシージー製造株式会社(日本BCG研究所) |
研究代表者 |
松尾 和浩 日本ビーシージー製造株式会社(日本BCG研究所), 研究開発部, 部長(M職) (70521095)
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研究分担者 |
志田 壽利 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 客員教授 (00144395)
三浦 智行 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 准教授 (40202337)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | エイズワクチン / 組換えBCG / 組換えワクシニアウイルス / PEST配列 / 抗原提示能 / SIV感染モデル / インド産アカゲザル |
研究実績の概要 |
これまでの予備的な検討の結果、SIV gag, pol, rev-tat-nef, envをそれぞれ発現するウレアーゼ欠損型組換えBCG東京株と同じ遺伝子を発現する組換えワクシニアウイルスLC16m8delta株のプライムブーストワクチンにより、カニクイザルでのSIVmac感染を防御できる個体が複数存在することがわかっていた。しかしながら、カニクイザルでのSIVmac感染系は世界的には、SIVmac感受性が低くワクチン評価には適していないという評価が一般的であった。今回、カニクイザルより高いレベルの動物を用いて、この候補ワクチンを評価するため、ヒトでのHIV感染防御効果を反映すると認められているインド産アカゲザルでのSIVmac感染モデルを用い、ワクチンに組み込む抗原遺伝子の前後にPEST配列を挿入することにより抗原提示能を増強した候補ワクチンを新たに採用した。 初年度は、SIV gag, pol, rev-tat-nefにPEST配列を挿入した遺伝子をそれぞれ発現する組換えBCGおよび組換えワクシニアウイルスの構築を完了した。感染実験に用いるインド産アカゲザルのMHC解析による選別を行い、3頭のサルの飼育管理を京大の施設で行っている。組換えBCGの皮内接種によるプライミング免疫を行い、その8週後に組換えワクシニアウイルスを乱刹法によりブーストした。2度目のブースター免疫を行った後、SIV特異的細胞性免疫の誘導を確認し、SIVmac感染実験に進む予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PEST配列を組み込んだSIV gag, pol, rev-tat-nefを発現するBCGおよびワクシニアウイルスLC16m8delta株の構築が完了した。各々の抗原発現は、gagおよびpolについては、SIVmac感染サル血清を用い、またrev-tat-nef融合蛋白質については、抗Nefモノクローナル抗体を用いてウエスタンブロット解析を行い、確認できた。SIVmac感染実験に用いるインド産アカゲザルのMHC解析により、遺伝的抵抗性を示すMHC遺伝子を持たない個体の選別も完了し、京大で飼育管理されている。既に組換えBCGの免疫実験がスタートし、次いでワクシニアウイルスの1回目のブーストを行った段階である。SIV特異的な細胞性免疫の解析系(in vitro SIV suppresion assay)も確立し、順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
既に組換えBCGでプライミングしたアカゲザル3頭に、組換えワクシニアウイルスでのブースター免疫を2回行い、in vitro SIV suppression assayにより抗SIV細胞性免疫の誘導を確認・評価する。十分な細胞性免疫誘導が確認できた場合は、次いでSIVmac 251株のストックウイルスを経直腸で攻撃接種し、血液中のSIV量をリアルタイムPCRによりモニターすることにより、SIV感染防御能を評価する予定である。十分な細胞性免疫誘導が確認できない場合は、再度のブースター免疫を行うかどうか検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度に計画していた、組換えBCGによる免疫反応のin vitroでの解析まで実施できず、次年度にずれ込んだため、その実験に必要な試薬、消耗品等物品購入に充てる予定だった費用(180,393円)を二年目の請求分と併せて使用することとした。 北大と京大間の旅費として計上していた10万円の残額(85,000円)は、二年目にサルの免疫反応解析実験を二者の共同で行う機会が増えるため、北大からの研究者の移動のための費用として、二年目の請求分として使用することとした。
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