研究課題/領域番号 |
18K06118
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
樋口 麻衣子 立教大学, 理学部, 助教 (30420235)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | Akt / 微小管 / 細胞極性 / 細胞運動 |
研究実績の概要 |
繊維芽細胞が正しい方向に遊走するためには、細胞外の走化性因子の濃度勾配に応じた前後の極性形成とそれに引き続く細胞極性の維持が重要である。繊維芽細胞の極性維持には細胞前方における微小管の選択的な安定化が重要な役割を果たすと考えられているが、いかなるメカニズムで前方の微小管が安定化されるのかはほとんど明らかになっていない。 研究代表者はこれまでに、PI3K-Akt1経路が微小管を安定化することにより細胞極性の維持に貢献することを示唆する結果を得ている。さらに、Akt1による微小管安定化メカニズムの詳細について検討を行う過程で、Akt1の基質候補分子として微小管結合分子EB2/RP1が重要な役割を果たすことを見出した。そこで本研究では、PI3K-Akt1経路が微小管結合分子EB2を介して細胞前方における微小管の安定化を促進し、細胞の前後の極性維持に貢献する可能性について検討を行った。 Akt1の基質候補分子EB2/RP1はその機能がほとんど分かっていない分子であったが、EB2/RP1ノックダウン細胞の微小管について解析した結果、EB2/RP1が微小管の不安定化を促進する分子であることが明らかとなった。さらに、微小管の修飾について調べたところ、EB2/RP1ノックダウン細胞の微小管では脱チロシン化チューブリン、アセチル化チューブリンの割合が著しく増えていることが明らかとなった。現在は、チューブリンのリン酸化状態について検討を行っている。今後はEB2/RP1ノックダウン細胞の微小管でこれらの微小管修飾状態に変化が起きるメカニズムについて検討することにより、Akt1-EB2/RP1経路が微小管安定化を制御するメカニズムの詳細を明らかにする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年11月に研究代表者の研究機関の異動があり、実験系の立ち上げを行う必要があった。特に、本研究においては、微小管動態を非常に高い解像度で高速に観察することが重要であるが、その観察を行う顕微鏡システムを異動により全て変更することになったため、目的のものを観察するための条件検討を最初からやり直す必要があり、当初の計画より遅れが生じてしまった。現在は観察の条件検討が済み、微小管動態を観察出来る状態にある。
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今後の研究の推進方策 |
微小管可視化プローブ(EMTB-GFPおよびtubulin-GFP)、および微小管プラス端に結合するEB1の可視化プローブ(EB1-GFP)発現細胞をライブイメージングすることで微小管動態制御を詳しく解析し、微小管動態制御におけるEB2/RP1の役割について明らかにする。また、Akt1とEB2/RP1の関係について明らかにすることにより、Akt1-EB2/RP1経路による微小管動態の制御メカニズムの詳細を明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年11月に研究代表者の研究機関の異動があり、本研究を遂行する上で必要な実験系の立ち上げ、条件検討等を最初からやり直す必要があり、当初の計画通りに研究を進めることが出来なかった。現在は実験系の立ち上げが済み、微小管動態制御のメカニズムの解析について検討を進められる状態にあり、今後は当初の計画に沿って実験を行う予定である。次年度使用額については、上記実験を遂行するのに必要な消耗品、設備、備品の購入費用として使用する予定である。
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