Inurois属蛾類には初冬型と晩冬型が存在し、これらは繰り返し進化してきた。また初冬型と晩冬型は繁殖季節が異なるために互いに交尾できない。クロテンフユシャクは種内に初冬型と晩冬型が存在し種が分化する過程にあると考えられる。本種のゲノムを研究し、種分化に関わる遺伝子およびそれらのゲノム上の位置を明らかにした。生物進化では自然選択が重要な役割を果たすが、ゲノム上の遺伝子の位置によって進化可能性が変化するものと考えられる。本研究では、種分化に関連する遺伝子が同一染色体上で物理的に連鎖していることを明らかにするなど、属内で両型が繰り返し進化した背景にゲノム構造が関与している可能性を示した。
|