本研究は、クローナル植物で自己間引きが見られない機構を栽培実験により明らかにすることを目指した。ラメット間の生理的統合や季節的な地上部の枯死ではなく、地下部に多量の物質を貯蔵するため生育初期からの同化産物の地下への転流が、個々のラメットの成長を抑制し自己間引きを防ぐという仮説を検討した。steam girdlingを用いて同化産物の地下部への転流様式を変化させると、感染症の発生確率が高まり、ラメットの死亡率が非常も高まった。しかし、ラメットの顕著なサイズの増加は見られなかった。以上から物質転流の変換が、クローナル植物の防御システムに影響する可能性があり、より詳細な検討が必要である。
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