長江デルタ地域北端に位置する蒋庄遺跡から出土した新石器時代人骨について、再整理と形態解析、および同位体分析用のサンプリング作業を行った。C14年代測定の結果、埋葬人骨の年代は概ね2860-2480 cal BCEの範囲(良渚文化期)に集約した。安定同位体分析の結果、これまで分析してきた長江デルタ南部に位置する上海市広富林遺跡や浙江省良渚遺跡群とは様相が異なり、食性に大きな個体差はみられなく、移入者の存在も皆無であった。形態解析の結果においても、蒋庄集団の歯冠サイズは、非常に小さく、同地域の龍蛟庄集団(5000-3000 BCE)と初期王朝(東周代~西漢代)の人々と共に独自の形態をもっていた。
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