消化管神経システムの主要なコンポーネントである消化管グリア細胞(EGC)について、ヒト腸管における分布や病態下における変化について検討を行った。ヒト結腸では各陰窩間に3-5個程度のEGCが存在し、細い突起を粘膜固有層内に伸長していた。加齢に伴って粘膜内のEGCの数は保たれていたが、老齢期には陰窩底周囲に集積する傾向がみられた。大腸前癌病変では粘膜内EGCの数は減少しており、その分布や粘膜内神経突起には疾患特異的な変化が見られた。In vitro共培養モデルを用いた検討から、EGCは大腸腫瘍細胞の細胞内情報伝達を修飾し、粘液産生などの腫瘍形質を調節している可能性が示唆された。
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