研究課題
基盤研究(C)
我々は以前にNASH/NAFLD患者で発現上昇が認められるmiR-27bの新規標的遺伝子MAIP1を同定し、MAIP1の発現低下は培養肝細胞への脂質蓄積および細胞の酸化的リン酸化機能低下を招くことを見出した。本検討では、MAIP1の発現低下がミトコンドリア機能の低下および電子伝達系複合体1機能の低下と活性酸素種の増大を招くこと示した。複合体1の障害は活性酸素の産生を増大させゲノム損傷や炎症を誘導すると考えられることから、NASH/NAFLD病態との関連性が示唆された。
分子生物学
本研究により、MAIP1の発現低下が脂質蓄積だけではなくミトコンドリア機能の低下および酸化ストレスの発生を誘導することを明らかとした。さらに、その原因として電子伝達系機能の阻害があることを示した。これにより、NAHS/NAFLD病態に対して、ミトコンドリア機能の抑制と酸化ストレスを介してMAIP1が寄与する可能性を示した。これらの知見はMAIP1を標的とした創薬・治療法の開発に向けた基盤をなることが期待される。