日本において漢方薬は原典となる医学書の記述に基づき個々の生薬の配合比はある程度決められている。しかし、その生薬の配合に関して科学的に検証した研究は少ない。桔梗湯はキキョウとカンゾウの2つの生薬から構成される漢方処方であるが、配合比を変え、キキョウの量は増加させることによって有効成分の減少や抗炎症活性が減弱し、標準的な配合比が最も高い活性を示した。五苓散についても脂溶性成分に脂肪細胞分化抑制活性があることから生薬の粉末を混合した散剤として服用する方がより効果的である可能性が示された。これらの知見は漢方処方の科学的理解につながるものと考えられる。
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