本課題では脂質分散製剤(LBF)における薬物経口吸収メカニズムを明らかにした。種々の薬物を含有させたLBFを調製し、消化試験を行った結果、薬物はLBFの組成に依存して異なる溶解挙動を示した。しかしながら、in vivo吸収試験では、消化試験からの予測とは異なる吸収パターンが認められた。さらに詳細な検討を行ったところ、この原因は①消化の遅い製剤では薬物が残存した油脂中に取り込まれるため見かけの膜透過性が低下する、②油脂の消化により薬物が非晶質として析出し再溶解速度が上昇する、③消化産物の薬物溶解能が製剤の組成により異なるためであると考えられた。本知見はLBF開発において有用であると考えられる。
|