研究課題/領域番号 |
18K06926
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研究機関 | 国立研究開発法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
福井 由宇子 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 分子内分泌研究部, 研究員 (50342639)
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研究分担者 |
竹内 隆 鳥取大学, 医学部, 教授 (70197268)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | クロマチン / 転写制御 / 性分化疾患 / Polycomb / Jarid2 |
研究実績の概要 |
分化細胞核ではダイナミックなクロマチン構造変換が起きる。Polycomb Group (PcG) 遺伝子は、この分子過程における主要なクロマチン制御因子である。本研究課題では、生殖腺形成マスター遺伝子を制御することが明らかな唯一のPcGメンバーCbx2 (M33)、ならびにPcGと共役するクロマチン構成因子Jarid2 (Jumonji)に焦点をあてる。これらクロマチン構成因子の生殖腺形成過程における標的ゲノム領域クロマチン構造とその構築過程を明らかにする。同時に機能欠失マウスの遺伝学的解析により、標的ゲノム領域におけるこれらクロマチン構成因子相互作用の検証を個体レベルでおこなう。得られた知見をもとに、ヒト性分化疾患 disorders of sex development (DSD)におけるこれら因子の変異解析をおこない、疾患発症分子機序の解明につなげる。初年度にあたる2018年度は、本研究課題で最も時間を要するマウス性分化・生殖腺分化過程におけるCbx2・Jarid2の遺伝学的相互作用の解析から着手した。Jarid2-floxはExon2欠失はin frame変異であることから、Creマウス交配によりJarid2機能が失われるかを検証する必要があった。Jarid2-floxに研究代表者が検証済みの受精卵発現性Creラインを交配し、null型の表現系を確認するための交配を開始した。一方、性分化疾患ゲノム解析はJarid2についてエクソーム解析を行った。18名の性分化疾患患者に病原性の高い変異は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理由 マウス性分化・生殖腺分化過程におけるCbx2・Jarid2の遺伝学的相互作用の解析 Jarid2 null KOマウスは心臓の初期形成異常により胎生10.5日以降胎生致死あるいは異常胚となり生殖腺分化過程の解析は不可能であることから、null型Jarid2・Cbx2 double KOでは解析不能である。本研究課題ではJarid2-flox/+マウスを用い胎児生殖腺を解析する。 Jarid2-flox/+は研究分担者が、本研究課題開始前に共同研究にて作成を進めてきていた。本研究課題では研究分担者共同研究者(理研・千葉大学)との共同研究ベースのMTAを取り交わし、研究分担者が保有するJarid2-flox/+マウスは、鳥取大学動物実験施設の協力のもと凍結精子を作成、系統保存を行なった。凍結精子は国立成育医療研究センターに液体窒素下で輸送した。国立成育医療研究センターにて一部を融解移植後7匹のJarid2-flox/+マウスを得た。本実験に先立ち、デザインされたExon2欠失を、Jarid2-floxにCreマウス 交配によりJarid2機能が失われるかを検証するために、Jarid2-flox既知Creライン(オスnのみで維持可能)を交配したが、Jarid2-flox/+メスマウスは妊娠はしたが出産前後で全て死亡し、十分な産仔が得られなかった。そのため、次世代のJarid2-flox/+メスマウスを作成した。現在目的の交配を行なっている。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は以下の実験を行う予定である。 ①マウス性分化・生殖腺分化過程におけるCbx2・Jarid2の遺伝学的相互作用の解析:Jarid2-flox/flox、受精卵発現性Creラインを用いたJarid2-flox/floxライ ンの検証を国立成育医療研究センターにて行う。さらに生殖腺特異的Creラインを導入して交配解析を行う。 ②性分化疾患ゲノム解析:DSD関連のDNA検体のエクソーム解析によりJARID2関連クロマチン因子の変異を次世代シークエンサー解析により検索する。 ③Cbx2、Jarid2に遺伝的相互作用がある場合、性分化・生殖腺分化過程におけるCbx2・Jarid2標的ゲノム領域の比較解析:クロマチン因子Cbx2およびJarid2のゲノム集積領域との比較解析のために、マウス胎児期生殖腺を用いた標的領域(Nr5a1, Lhx9, Gadd45g等) におけるChIP解析を行なう。Cbx2抗体 (モルモット) および購入済み市販Jarid2抗体を用いる。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度予定のマウス解析が2020年度にずれ込んだ。2020年度に計画通り使用する。
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