膵がん細胞株においてArl4cの発現を抑制したところ、がん細胞の浸潤能が強く抑制された。Arl4cはミリスチン酸修飾を介して浸潤仮足の先端部に局在し、細胞外基質の分解を誘導することで浸潤能を亢進させた。Arl4cの新規結合タンパク質としてIQGAP1を同定し、その下流のエフェクター分子としてMMP14 (MT1-MMP)を見出した。Arl4cは浸潤仮足先端部分のPIP3領域に特異的に局在し、そこへIQGAP1やMMP14をリクルートすることで浸潤能を亢進させた。Arl4cに対する修飾型アンチセンス核酸 (ASO)投与は、同所移植モデルにおいて、膵がん細胞のリンパ節への転移を強く抑制した。
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