研究課題
基盤研究(C)
コリンは生命活動に不可欠な分子であり、生体膜リン脂質成分に貯蔵されているが、どのように膜成分から取り出され、どのような目的で利用され、その代謝異常によってどのような疾患が生じるかは十分に解明されていなかった。本研究では、肝臓、中枢神経系、骨格筋などにおいて「内因性コリン産生経路」に関わる脂質分解酵素群を同定し、それらの欠損マウスを作出して表現型解析やメタボロミクス解析を行うことで、内因性コリン産生経路の生理的・病理的意義を明らかにした。
脂質生化学
本研究で明らかとした肝臓と神経系における内因性コリン産生系の役割は、脂肪肝、神経変性、筋萎縮などの疾患群とリン脂質代謝経路の関連性を示唆し、従来想定されていたリゾホスホリパーゼの概念を大きく転換するものである。将来的にリン脂質分解酵素の機能介入を通じて肝機能、神経機能、骨格筋機能を人為的に調節できるようになれば、新しい分子機序に基づく健康食品・医薬品の開発に結びつくことが期待される。