病理医が日常診断で遭遇するサイトメガロウイルス(CMV)感染細胞ではウイルス増殖が見られ容易に検出可能である.一方, CMV潜伏感染細胞を検出する方法は未だ確立していない.近年,CMVゲノムにおいて潜伏感染を維持するのに必須な遺伝子群が発見され,これらに由来する蛋白(LAP)が潜伏感染時でも宿主細胞に影響を及ぼすと考えられている.代表者はLAPの一つに注目し,ホルマリン固定パラフィン包埋切片(FFPE)でも同蛋白を検出できる単クローン抗体の作成を試みた.その結果,3種類の抗体を樹立した.さらに,これらの抗体を用いて大動脈粥状硬化病変のFFPE標本におけるCMV潜伏感染細胞の局在を明らかにした.
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