研究課題
基盤研究(C)
体内で、細菌がバイオフィルム(菌の集合体)を形成すると、免疫システムや抗菌薬が効きにくくなるため、細菌を排除することが困難となる。その結果、治療に難渋するバイオフィルム感染症を引き起こし問題となるが、バイオフィルムの細菌がどのように病原性を発揮するのかは不明であった。本研究では、バイオフィルム形成後に細菌がその集合体から離れ自由に動き回れるようになること、免疫システムの攻撃から逃れる能力を獲得して体内で生き残りやすく、感染を悪化させる可能性があることが明らかとなった。
細菌学
本研究により、細菌がバイオフィルムを形成すると、生体内で排除されにくくなるという問題に加えて、病原性の高い細菌がバイオフィルムから離脱することで、感染を拡大・悪化させる可能性があることが判明した。このことからバイオフィルム感染症の治療において、離脱細菌に対する殺菌の重要性が示唆されるが、抗菌薬が有効であることが明らかとなった。但し、離脱細菌はバイオフィルムを形成しやすく、再形成すると治療は困難となると考えられることから注意が必要である。