本研究では、大腸癌のモデルマウスを用いて大腸癌の腫瘍微小環境における好中球の腫瘍促進能の解明を試みた。好中球は感染防御の観点から必須な宿主細胞である一方、担癌患者においては、腫瘍を促進する方向に働くことが知られている。好中球の感染防御機能を維持しつつ、腫瘍促進能のみを抑制することで、副作用の少ない治療法の確率につながると考えた。大腸癌の分類のなかで、CMS4と呼ばれる予後が悪く抗VEGF抗体が効きにくいものでは、腫瘍周囲に好中球が多く集族し、好中球由来の血管新生因子Bv8が分泌されていた。抗VEGF抗体治療に加えて、抗Bv8抗体治療も追加することで、CMS4型のマウス大腸癌の進行が抑制された。
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