本研究では神経芽腫由来の細胞を用いて、Srcキナーゼやその基質分子が神経芽腫の悪性化のプロセスにおいてどのような役割をしているかの解析を進めてきた。Srcキナーゼ阻害剤を用いた解析では、神経芽腫におけるSrc経路の阻害が、細胞増殖よりも細胞運動について最も顕著な効果を示すことが明らかになった。これらの阻害剤の中でもdasatinibの細胞運動抑制効果が最も強く、10nM程度の低濃度で見られた。この濃度でパキシリンやCasなどのSrcの基質のリン酸化が抑制されていた。一方でsiRNAによるSrc基質群の発現抑制を試みたが、発現抑制による細胞増殖能や細胞運動能に対する影響は限定的であった。
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