慢性的な鼻腔炎症は精神神経疾患のリスクを高める。その機構解明を目指す第一歩として、鼻腔炎症と嗅覚入力遮断が嗅球に及ぼす影響を比較した。マウスを用いた実験の結果、前者は嗅球の外側が、後者は内側が萎縮した。前者は神経炎症を伴ったが後者は伴わなかった。また、炎症が収束すると嗅球は回復したが、回復には嗅覚入力を必要とした。次に鼻腔炎症が脳腸連関に及ぼす影響を調べるため、慢性鼻腔炎症マウスの盲腸便を用いて16Sメタゲノム解析を行った。その結果、慢性鼻腔炎症によりオスでは腸内細菌叢が顕著に変動した。以上より、鼻腔炎症は脳及び腸内細菌叢の恒常性を乱し、精神神経疾患発症に寄与する可能性が示唆された。
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