研究課題/領域番号 |
18K07411
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小杉 眞司 京都大学, 医学研究科, 教授 (50252432)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 遺伝学的検査 / がん遺伝子パネル検査 / 次世代シークエンサー / 医療法改正 / 二次的所見 / 全エクソーム解析 / 精度管理 / ACCE |
研究実績の概要 |
ゲノム医療の実装のために重要な臨床検査としてのヒト遺伝子関連検査を確立するために、次世代シーケンサによる解析を含むヒト遺伝子関連検査の分析的妥当性、臨床的妥当性、臨床的有用性、倫理社会的問題について、下記の4つの領域に関する総合的検討を開始した。①単一遺伝性疾患(希少難病等)などを対象に、単一あるいは少数の遺伝子をサンガー法など従来型解析法で調べるもの。②多因子疾患(Common Diseases)などの易罹患性をゲノムワイド相関解析などのデータ等に基づいて調べる遺伝学的検査。③次世代シーケンサ(NGS)を用い、多数の遺伝子を一度に調べるパネル検査、全エクソーム解析、全ゲノム解析など。④がん細胞における遺伝子の変化を調べ、がんの正確な診断や治療に役立てるがん遺伝子パネル検査。さらに、③④に関しては、検査の当初の目的外に見いだされるいわゆる二次的所見の問題も重要であるので、その取扱について検討を実施した。具体的には、 (1)2018年の医療法改正に伴う臨床検査としての遺伝学的検査における精度管理のあり方及び研究として実施される生殖細胞系列遺伝子解析のありかたについて整理を実施し、関連領域に発生しかねなかった混乱を回避することができた。 (2)次世代シークエンサーを用いるがん遺伝子パネル検査および、遺伝性難病の網羅的生殖細胞系列遺伝学的検査を実施する際の種々の問題点(二次的所見の取り扱いなど)を整理することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書に記載した目的が順調に達成されつつあるため。
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今後の研究の推進方策 |
(1)がん遺伝子パネル検査を含めた次世代シークエンサーを用いた網羅的解析の際の二次的所見の取り扱いについて、遺伝医療専門家を対象とした質問紙調査を実施し、2014年に実施した際の状況との違いを明らかにする。 (2)二次的所見としてのACMG59遺伝子の我が国におけるactionabilityについて、多面的な評価を実施する。具体的にはClinGenで採用している4つの評価指標,すなわちSeverity, Likelihood, Effectiveness, Nature of interventionの4項目に加え,わが国の医療体制の現状を鑑みてaccessibilityも評価する方針とし,遺伝性腫瘍及び循環器疾患など、二次的所見が重要とされるものを中心に実施する。 (3)2018年度の診療報酬改定に伴って点数改定が実施された背景より遺伝性難病に対する遺伝学的検査実施の拡大されている。また、がんゲノム医療の本格実施に伴って遺伝性腫瘍原因遺伝子の遺伝学的検査が不可欠となっている状況の中で、これらの遺伝学的検査のACCEの状況について実地調査する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)2018年度は、論文調査やインターネット上の調査、電子メールでの情報交換など、経費がかからない方法で、研究のスタートをきることができたため。 (使用計画)本研究では、情報収集と整理が重要となるため、各種学会等での情報収集のための旅費・参加費および、学内での作業を依頼する研究協力者に対する謝金等が主体となる、そのほか、収集データの保存・活用のための電子媒体の購入費用、特定のデータべースの使用量などにも研究費を使用する。
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