研究課題
本研究は、耐糖能異常ニューロパチーにおける①adrenergic neuronとcholinergic neuronとの障害度の差についての検討、②発症への酸化ストレスの関与についての検討、③発症への中枢神経系の関与についての検討を行うとともに、準境界型ニューロパチーと称すべき病態に関する出現頻度の調査も行い、「耐糖能異常患者に出現する小径線維ニューロパチーの超早期診断法の確立」、「point of no returnを意識した薬物療法の至適開始時期同定」、「準境界型ニューロパチーという新疾患概念の確立」、そして「耐糖能異常患者における小径線維ニューロパチーの 発症機序の一部解明」にまで至ることを目的とする。初年度である2018年度には、このうち耐糖能異常ニューロパチーにおけるadrenergic neuronとcholinergic neuronとの障害度の差についての検討を中心に研究を進めた。具体的には、耐糖能異常患者76名分の生検皮膚組織を用い、耐糖能異常患者における表皮内のadrenergic neuronと汗腺周囲のcholinergic neuronとの密度減少率の差(=障害度の差)を、age matchingした健常者40例分のデータと比較したもので、検討の結果、耐糖能異常患者における表皮内のadrenergic neuronは汗腺周囲のcholinergic neuronより早期から密度減少率が高い傾向にあった。また、一部の耐糖能異常患者を対象に、FREE CARRIO DUOによる血清ヒドロペルオキシド値の測定や抗酸化力(血中鉄還元反応)のチェックを行い、これら各々の値や、そこから算出される「酸化度/抗酸化力」と尿中ミオイノシトール+Aδ線維 特異的痛覚閾値+血管運動神経機能(=C線維機能)の評価から見た小径線維の障害度との相関についても検討を開始した。
2: おおむね順調に進展している
研究対象となる患者の数も予定通り集まり、当初研究計画書に掲げた2018年度施行予定の研究(耐糖能異常ニューロパチーにおける①adrenergic neuronとcholinergic neuronとの障害度の差についての検討、②発症への酸化ストレスの関与についての検討)について順調に着手でき、次の計画につながる一定の結果も得たことから、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
今後は、耐糖能異常ニューロパチーにおける発症への酸化ストレスの関与についての検討、発症への中枢神経系の関与についての検討を行うとともに、準境界型ニューロパチーと称すべき病態に関する出現頻度の調査も行い、「耐糖能異常患者に出現する小径線維ニューロパチーの超早期診断法の確立」、「point of no returnを意識した薬物療法の至適開始時期同定」、「準境界型ニューロパチーという新疾患概念の確立」、そして「耐糖能異常患者における小径線維ニューロパチーの 発症機序の一部解明」にまで迫っていく予定である。中枢神経系の検査、評価についてはMEG+MRIやrs-fMRIを用いた検討を、酸化ストレス(酸化度/抗酸化力)の検査については、上記「研究実績の概要」に記載した研究内容の継続、をそれぞれ計画している。また、最終的には、本研究で得られた成果から導き出された検査法と既存の検査法を組み合わせた、定量的超早期診断法の確立、準境界型ニューロパチーと称すべき病態に関する出現頻度の調査、ならびに耐糖能異常患者における小径線維ニューロパチーの発症機序の一部解明にまで到達したいと考えている。
①酸化ストレス、抗酸化力測定用の試薬価格が値下がりしたこと、②一部の患者に関する酸化ストレス、抗酸化力測定が次年度に持ち越しとなったこと、③対象患者への謝金を必要とするEG+MRIやrs-fMRIを用いた検査、検討が次年度に持ち越しとなったこと、などが要因である。
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