研究課題/領域番号 |
18K07583
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
朝倉 聡 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (30333602)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 青年期 / 抑うつ症状 / 社交不安症状 |
研究実績の概要 |
平成30年度は、大学保健センターを受診した502例について、抑うつ症状の評価として施行したPatient Health Questionnaire (PHQ-9)、社交不安症状の評価として施行したLiebowitz Social Anxiety Scale(LSAS)を検討した。統合失調症4例、双極性障害10例、器質性精神障害1例、アルコール依存症1例と評価不完全例48例を除外すると438例となった。PHQ-9のアルゴリズム診断で、大うつ病エピソードおよびその他のうつ病エピソードとされる例をうつ病エピソード群とすると280例が該当した。うつ病エピソード群で自殺念慮ありは169例、自殺念慮なしは111例であった。うつ病エピソードなし群で自殺念慮なしの例は125例であり、これをコントロール群とした。 年齢は、コントロール群で21.8歳、うつ病エピソード(自殺念慮なし)群で22.1歳、うつ病エピソード(自殺念慮あり)群で21.9歳であり有意差は認められなかった。LSASでの社交不安症状はコントロール群で35.7、うつ病エピソード(自殺念慮なし)群で47.9、うつ病エピソード(自殺念慮あり)群で59.6であり、コントロール群、うつ病エピソード(自殺念慮なし)群、うつ病エピソード(自殺念慮あり)群の順で、有意に社交不安症状が強い結果であった。 これらの結果からは、うつ病エピソードに自殺念慮を伴っていると、社交不安症状が強い場合が多い可能性が考えられた。今後、入学時にTemperament and CharacterInventory (TCI)にて評価した人格特性との関連なども含めて縦断的に検討していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
大学入学時の人格特性の評価としてTemperament and Character Inventory (TCI)、抑うつ症状の評価としてPatient Health Questionnaire (PHQ-9)、全般的な精神症状の評価としてK10、微弱な精神病様体験の評価としてPRIME Screenについては、継続してデータを集積中であり、まだ解析には至っていない。大学保健センターを受診した学生に対しては、PHQ-9にて抑うつ症状の評価、LSASにて社交不安症状の評価を行い、同時にK10により全般的な精神症状の評価、Rosenberg’s Self-Esteem Scale(RSES)にて自尊心・自己効力感の評価、Life Experience Survey(LES)により肯定的および否定的なライフイベントの評価、Beck HopelessnessScale(BHS)にて自殺念慮の評価を行っているが、データベースの構築が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
データベースを構築し、大学保健センター受診学生についての抑うつ症状、自尊心・自己効力感、絶望感、社交不安、ライフイベント等のデータを蓄積し、大学入学時の抑うつ症状、人格特性等のデータとあわせた解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、データ収集、データ入力、解析のための人件費・謝金が発生しなかった。また、データベースの構築が遅れたため、次年度はこれに関する費用としても使用する。
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