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2020 年度 実施状況報告書

青年期の抑うつ症状と社交不安症状に関する包括的、縦断的検討

研究課題

研究課題/領域番号 18K07583
研究機関北海道大学

研究代表者

朝倉 聡  北海道大学, 医学研究院, 准教授 (30333602)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード青年期 / 抑うつ症状 / 社交不安症状
研究実績の概要

2020年度は、大学保健センターを受診した322例(男性199例、女性123例)について、抑うつ症状の評価として施行したPatient Health Questionnaire (PHQ-9)、社交不安症状の評価として施行したLiebowitz Social Anxiety Scale(LSAS)、自尊心・自己効力感の評価として施行したRosenberg’s Self-Esteem Scale(RSES)、絶望感の評価として施行したBeck Hopelessness Scale(BHS)について検討した。
それぞれの評価の平均(標準偏差)は、PHQ-9は13.03(6.08)、PHQ-9の9項目(自殺関連念慮)は0.81(0.96)、LSASは52.66(28.35)、RSESは20.99(4.87)、BHSは12.39(4.19)であった。
重回帰分析によると、LSASで評価した社交不安症状とRSESで評価した自尊心・自己効力感は、PHQ-9における9項目の自殺関連念慮の有意な予測因子であることが確認された。
共分散構造分析の結果、LSASで評価した社交不安症状とRSESで評価した自尊心・自己効力感が自殺関連念慮に及ぼす影響は、BHSで評価した絶望感によって部分的に媒介されていることが確認された。ブートストラップ法での結果では、媒介モデルの直接効果と間接効果が有意であることが確認された。
高い社交不安症状と低い自尊心・自己効力感は自殺関連念慮を予測できる可能性があり、これらの影響は絶望感によって部分的に媒介されている可能性が考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

大学入学時の人格特性の評価としてTemperament and Character Inventory (TCI)、抑うつ症状の評価としてPHQ-9、全般的な精神症状の評価としてK10、微弱な精神病様体験の評価としてPRIME Screenについては、継続してデータを集積中である。大学保健センターを受診した学生に対しては、PHQ-9にて抑うつ症状の評価、LSASにて社交不安症状の評価を行い、同時にK10により全般的な精神症状の評価、RSESにて自尊心・自己効力感の評価、Life Experience Survey(LES)により肯定的および否定的なライフイベントの評価、BHSにて絶望感の評価を行っており、これらについても、継続してデータを集積する。データベースの構築がやや遅れている。

今後の研究の推進方策

データベースを構築し、大学保健センター受診学生についての抑うつ症状、自尊心・自己効力感、絶望感、社交不安、ライフイベント等のデータを蓄積し、大学入学時の抑うつ症状、人格特性等のデータとあわせた解析を行う。

次年度使用額が生じた理由

今年度は、データ収集、データ入力、解析のための人件費・謝金が発生しなかった。また、データベースの構築がやや遅れているため、次年度はこれに関する費用としても使用する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] うつ病と不安2021

    • 著者名/発表者名
      藤井 泰, 朝倉 聡
    • 雑誌名

      最新精神医学

      巻: 26 ページ: 125-131

  • [学会発表] 社交不安症の診療ガイドライン2020

    • 著者名/発表者名
      朝倉 聡
    • 学会等名
      第50回日本神経薬理学会/第42回日本生物学的精神医学会/第4回日本精神薬学会
  • [学会発表] 社交不安症の診療ガイドライン2020

    • 著者名/発表者名
      朝倉 聡
    • 学会等名
      第116回日本精神神経学会
  • [学会発表] 社交不安症診療ガイドラインをいかに臨床に活かすか2020

    • 著者名/発表者名
      朝倉 聡
    • 学会等名
      第116回日本精神神経学会
  • [学会発表] 保健センターの精神衛生相談を利用した留学生の抑うつ傾向についての検討2020

    • 著者名/発表者名
      石原 可愛, 三井 信幸, 藤井 泰, 朝倉 聡, 橋野 聡
    • 学会等名
      第58回全国大学保健管理研究集会

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公開日: 2021-12-27  

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