研究実績の概要 |
2020年度の検討で、Liebowitz Social Anxiety Scale(LSAS)で評価した社交不安症状とRosenberg’s Self-Esteem Scale(RSES)で評価した自尊心・自己効力感は、Patient Health Questionnaire (PHQ-9)で評価した抑うつ症状の9項目(自殺関連念慮)の有意な予測因子であることが確認され、高い社交不安症状と低い自尊心・自己効力感は自殺関連念慮を予測できる可能性が考えられた。 2022年度は、今後の治療的介入法の検討を考慮し、社交不安に対する薬物療法および自尊心・自己効力感に関する介入が自殺関連念慮を減少させるかについてのシステマティックレビューとメタ解析を行なった。 社交不安に対する薬物療法では、MEDLINE、PubMed、CENTRAL、ICHUSHIで検索し、既存のメタ解析に5研究を加えてupdateした。選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の反応率(RR=1.62)でLSAS減少率(mean difference=-9.65)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)の反応率(RR=1.57)でLSAS減少率(mean difference=-11.72)でポラセボより有意であり、脱落率には差はなかった。 自尊心・自己効力感に関する介入が自殺関連念慮を減少させるかについては、PsycINFO、PubMed、Web of Scienceで検索し、5研究についてメタ解析を行なった。介入後の自殺関連念慮についての効果量は小さく[g=-0.24, 95%CI (-0.48, 0.00)]、3ヶ月follow up時は[g=-0.36, 95%CI (-0.62, -0.11)]であった。
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