研究課題/領域番号 |
18K07585
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
栗林 理人 弘前大学, 医学研究科, 特任准教授 (80261436)
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研究分担者 |
斉藤 まなぶ 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (40568846)
足立 匡基 弘前大学, 医学研究科, 特任講師 (50637329)
安田 小響 弘前大学, 医学研究科, 特任助手 (50743465)
高橋 芳雄 弘前大学, 医学研究科, 特任講師 (70760891)
中村 和彦 弘前大学, 医学研究科, 教授 (80263911)
大里 絢子 弘前大学, 医学研究科, 助教 (80597162)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ADHD / 大人のADHD / 合併症 / 疫学研究 |
研究実績の概要 |
注意欠如・多動性障害(ADHD)は子どもに特徴的な発達障害で、症状が遷延し、大人になってもADHDの診断がつく事例は、以前から報告されていた。昨今大人になって発症しているADHDが存在している可能性を示唆する論文が報告された。我々は大人のADHDは大人になって発症するのではなく、子どもの時はADHD症状が閾値以下であったが、大人になって、ストレス要因が多い環境となり、自己対処能力を超え、生活、仕事上の障害があらわれ、大人のADHDと診断されるとの仮説を立て研究を行った。某市の市民(18-49歳)の中から,調査対象者10000人を無作為に抽出した。Adult ADHD Self Report Scale-Screener が得点合計4点以上で,成人期AD/HDの疑いありとした。協力を得られたのは3910名。スクリーニングによって陽性(4点以上)となった者は,196名。CAADID日本語版を使って2次面接ができた41名をDSM-5にもとづき診断した。〇成人期ADHDは19名・不注意型:16名、・多動・衝動型0名、・混合型:3名 ○成人期ADHDの症状が軽度で,診断を満たさなかったのが1名。○成人期からのADHD:小児期はみたさず(不注意、多動などが各々6項目以下、成人期は不注意、多動などがどちらかが5項目以上みたす:3名。○成人期からのADHDの基準4項目以下など一致しない:2名。○成人期からのADHDの特性をもつ、症状の重症度が境界程度、3名。我々のサンプルの中のCAADIDの基準をみたさない大人のADHDは、子どもの頃は症状が目立たず、大人になってから社会不適応を起こし、ADHD症状が明らかになった症例で、DSM-5の診断基準の範囲内で、新しい概念の大人のADHD群でなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大人のADHDについてDSM5で診断をつけることで、最近の報告のような合併症によるものでなく、子どもの頃に逃された症状が大人になってから明らかになっているとの仮説が証明されたので、クリニカルベースで詳細に大人のADHDを解析する状況になった。
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今後の研究の推進方策 |
昨今、ADHDの疑いで受診される方が増えてきた。我々は、臨床場面で詳細な精神症状を把握し、合併症を明確にしている。今後の研究については、大人のADHDの詳細な臨床症状を把握するため、病院ベースでの大人のADHDの研究を進める。病院ベースでの対象者は、弘前大学医学部附属病院神経精神科をADHDの疑いで受診した20歳以上を対象とする。CAADID (Conners' Adult ADHD Diagnostic Interview for DSM-IV)を施行する。Part Iは,患者の成育歴についての項目であり,小児期と成人期のII部構成となっている。Part IIは,Diagnostic Criteria Interview であり,Part Iで得られた情報を。小児期と成人期のADHDの診断を、DSM5にもとづき行う。次に、精神疾患簡易構造化面接法(M.I.N.I-International Neuropsychiatric Interview)を用いて併存症の診断を行う。特に自閉スペクトラム症の合併が疑われる対象群については本人用の自閉スペクトラム症の診断ツールであるADOSを施行する。そして併存症の検討を行う。小児期のCAADIDによるデータと、成人期のCAADIDによるデータと併存症との相関について検討し、対象群が併存症によるADHD様症状であるか、子どものADHDであるか、大人のADHDであるかを鑑別する。そして新規の大人のADHDが存在するかどうかを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際ADHDで今年度の成果を発表する予定であったが、今回は行わなかった。ゆえに次年度に、今年度の成果を発表することになった。
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