研究課題/領域番号 |
18K07585
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
栗林 理人 弘前大学, 保健学研究科, 教授 (80261436)
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研究分担者 |
斉藤 まなぶ 弘前大学, 医学研究科, 准教授 (40568846)
足立 匡基 弘前大学, 保健学研究科, 准教授 (50637329)
安田 小響 弘前大学, 医学研究科, 特任助手 (50743465) [辞退]
高橋 芳雄 弘前大学, 保健学研究科, 准教授 (70760891)
中村 和彦 弘前大学, 医学研究科, 教授 (80263911)
大里 絢子 弘前大学, 医学研究科, 助教 (80597162)
新川 広樹 弘前大学, 医学研究科, 特任助手 (10848295)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ADHD / 大人のADHD / 合併症 / 疫学研究 |
研究実績の概要 |
大人のADHDについては大人になって発症するADHDが存在するかどうかは大きなテーマである。各国の状況によって大人のADHDは異なることが推測される。なぜなら国によって文化的背景や、症状の出現の仕方が異なるゆえである。我々は世界中で使われている大人のADHDのスクリーニングツールである日本語版CAARS(Conners' Adult ADHD Rating Scales)について、日本人のデーターと米国人のデータと比べることによって、このツールが妥当で信頼性のあるかどうかについて研究を行った。対象は日本の26県の786人(男性354人;平均38.79歳、女性432人;平均37.31歳,18歳から82歳)。すべての対象者はCAARS-S(本人)と対象者をよく知っている人によって、CAARS-O(客観)が施行された。米国人のデーターのCAARS-S(本人)は500人(男性218人;平均38.95歳、女性282人;平均37.42歳,18歳から81歳)。CAARS-O(客観)は500人(男性260人、女性240人である。データの解析は、探索的因子分析と確認的因子分析を行った。結果はテストーリテストで信頼性が得られ、内的整合性、併存的妥当性は十分であった。DSM-IVモデルと日本人の4因子モデルにおいて、配置や測定基準不変性が日本人と米国人でCAARS-S/Oに対して確立された。日本での大人のADHDの診断目的でのCAARSの使用が適切であることが明らかになった。ただし、異文化比較研究には注意して使用する必要がある。上記のCAARSとCAADIDを用いて、リクルートした日本人の大人のADHD24人と、対照の24人をPETを用いて、D1レセプターとミクログリアの脳内分布を調べた。ADHDはD1レセプターはACCで減り、ミクログリアがDLPFCとOFCで減少していることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大人のADHDについて我々が用いたCAARSのスケールの妥当性を明らかにし、このスケールを用いてリクルートした日本の大人のADHDの病態の一端を明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
昨今、ADHDの疑いで受診される方が増えてきた。我々は、臨床場面で詳細な精神症状を把握し、合併症を明確にしている。今後の研究については、大人のADHDの詳細な臨床症状を把握するため、病院ベースでの大人のADHDの研究を進め、DSM-5による診断を行い、大人になって発症したADHDが存在するかどうかを明らかにする。そしてDSM-IVで診断されている大人のADHDを再解析し、有病率を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際雑誌に、大人のADHDに今年度の成果を投稿する予定であったが、今回は行わなかった。ゆえに次年度に、投稿することとし、論文の校正費用と投稿費用に充てる。
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