研究課題
今年度には,単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)のアシクロビル(ACV)耐性の新規メカニズムを明らかにした.HSV-1野生分離株の中に,ACVのリン酸化活性を有するウイルス性チミジンリン酸化酵素の第1番目の翻訳コドン(メチオニン)と46番目のコドンに位置2番目のメチオニン間の第1番目のメチオニンから数えて8番目のコドンに位置する部位にストップコドンにを有するHSV-1(I4-2株)にが存在することを明らかにした.このHSV-1は2番目のメチオニンから翻訳されるチミジンリン酸化酵素を発現する.I4-2株はACVに感受性である.I4-2株のように2番目のメチオニンから翻訳されるチミジンリン酸化酵素を発現するHSV-1はACVに耐性を示すと報告されていることから,第8コドンにストップコドンを有するHSV-1と第44コドンにストップコドンを有する組換えHSV-1(それぞれHSV-1 8UAGおよびHSV-1 44UAG)を作出して,ACV感受性を調べた.HSV-1 8UAGはACVに感受性を示したが,HSV-1 44UAGは耐性を示した.ストップコドンの位置により,チミジンリン酸化酵素の発現量に違いが生じることがACVへの感受性の違いの理由であることが明らかになった.HSV-1 44UAGのACVへの感受性は温度依存性であることも明らかにされた.2019年に日本で,かつ,アジアで初めて確認されたBウイルス感染症(中枢神経感染症を引き起こす)患者検体等を用いて高感度遺伝子検査法を整備した.Bウイルス患者の脳脊髄液から検出されたBウイルス遺伝子はアカゲザル型のBウイルスであることが明らかにされた.
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件)
Journal of Virology
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