研究課題
低栄養状態は高齢者、悪性疾患、神経性無食欲症例などの予後規定因子である。近年、摂食ペプチドホルモンのグレリンやレプチンが種々の疾患の低栄養状態に関与することが知られているが、グレリンの発現量はH. pylori(HP)感染や胃粘膜萎縮などの胃内環境により規定され、除菌治療介入でグレリン値や栄養指標が改善することから、HP感染が栄養環境の調整役として新たなターゲットとなる可能性が示されている。また、腸内細菌叢の乱れが循環代謝疾患の発症リスクを増し、同時に脳腸相関にも関連して栄養環境にも影響するため、除菌治療後の栄養改善はグレリンの増加作用に加え、脳腸相関の活性化、腸内細菌叢変化との相加相乗作用によると考えられる。本研究は、栄養指標に対する腸内細菌叢とHP感染やその病原因子、グレリン発現量との関係性を明確にし、除菌治療による腸内細菌叢変化に着目した栄養環境や疾患の予後改善効果を動物モデルと臨床試験で証明することを目的とした。HP感染に関連した栄養過多/栄養障害症例の腸内細菌叢プロファイルの評価を行うことを目的に、栄養過多症例、栄養障害症例、健常者の登録を行うべく、滋賀医科大学の倫理委員会で研究計画の承認を得、現在透析症例を対象に患者登録を開始している。現在検体を集積しているところであり、集積後には解析、HP除菌後の経過観察などを行なっていく予定である。
2: おおむね順調に進展している
研究実績の概要に記載したごとく、HP感染に関連した栄養過多/栄養障害症例の腸内細菌叢プロファイルの評価を行うために研究計画を滋賀医科大学の倫理委員会で研究計画の承認を得、現在透析症例を対象に患者登録を開始している。現在検体を集積しているところであり、集積後には解析、HP除菌後の経過観察などを行なっていく予定である。糞便検体は16SrRNA次世代シーケンス法で腸内細菌叢プロファイル同定し、血清中のグレリン/レプチン濃度と各種栄養関連指標との相関性を検討していく予定である。また、H. pylori陽性症例に対しては除菌治療介入を行うことで、栄養関連指標への影響も検討する予定である、。
上記のごとく臨床研究は既に倫理委員会の承認が得られており、症例の集積を開始している。今後は研究協力施設との協力体制を強化し、早急に解説に移ることができるように研究体制を調整したい。
研究計画を立て際には1年時にも実際の検体の測定費用を計上していたが、集積後のまとめて測定するように計画を変更したために次年度使用額が計上される形となった。16SrRNA次世代シーケンス法での腸内フローラの測定費用やグレリン/レプチン濃度測定費用として次年度に使用する予定である。
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