IL-10KOマウスでは腸炎進展とともに慢性炎症に伴う鉄代謝異常を認めた。IL-10KOマウスに通常鉄餌あるいは鉄制限餌を与えた結果、鉄制限群で組織学的腸炎の軽減を認め、腸管マクロファージの細胞内鉄量は有意に低下した。鉄制限群ではM2マクロファージの増加を認め、マクロファージ細胞内鉄量がマクロファージ機能と関連する可能性が示された。細胞内鉄をキレートしたJ774細胞ではマクロファージからの炎症性サイトカイン産生が有意に低下した。以上より、慢性腸炎の進展に伴う生体内の鉄動態の変化はマクロファージの細胞内鉄量の増加と機能亢進を介してIBDの病態に関与する可能性が示唆された。
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