大動脈弁狭窄症(AS)は心臓流出路の重度閉塞が引き起こされる疾患である。加齢はASの強力なリスク因子であり、高齢化の進む日本においてはその罹患患者数は増加傾向にある。高度 AS 症例に対しては治療を行うが、観血的・外科的治療であるため相応のリスクが存在する。しかしながら現在のところASの進行抑制に有効であることが示されている薬物療法は存在せず、それは大動脈弁の石灰化の詳細なメカニズムは明らかにされていないために他ならない。本研究の結果は炎症制御転写因子であるNFκBがAS形成に深く関与していることを示唆する知見であり、新たな治療戦略の開発につながる可能性があると考えられる。
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