本研究では、老齢の特徴である「弾性線維の質的・量的な変化」により変動する遺伝子を網羅的に解析し、弾性線維再生を可能とする因子の特定を目指した。その結果、「弾性線維の質的・量的な変動」によって、16遺伝子の変動が認められた。その中でWntシグナルに関連する遺伝子を複数認めたことから、弾性線維形成におけるWntシグナルの関与について検討した結果、加齢により増加する内在性Wnt阻害因子DKK2が弾性線維の足場となる微細繊維の形成を抑制することが明らかとなった。一方、微細繊維の構成因子の発現には影響をしなかったことから、Wnt刺激により弾性線維形成を促進する因子が誘導される可能性が考えられた。
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