研究課題
D-DT 過剰発現(Tg)マウスおよびWTマウスの背部皮膚に紫外線を照射して光発癌を発症したマウスの紫外線照射皮膚を組織学的に調べた結果,D-DT TgマウスではWTマウスよりも紫外線照射によるp53の産生が減少しており,腫瘍は早期に増大した.In vitro実験系におけるフローサイトメトリーを用いた解析では,WTマウスに比べD-DT Tgマウスの培養細胞で紫外線照射によるアポトーシスが有意に減少することを確認した.また,紫外線誘導アポトーシス関連タンパク質に対するD-DTの影響を評価した結果,WTマウスケラチノサイトでは紫外線照射によりp53,PUMA,Bax,p-JNKおよびp-Badの発現を著しく増加したが,D-DT Tgマウスケラチノサイトではその発現が抑制された.従って,D-DTの過剰発現がアポトーシス調節タンパク質の活性化を有意に抑制できることを示唆された.さらに,siRNAを用いてD-DTノックダウンしたマウスケラチノサイトによる紫外線誘導アポトーシスに対するD-DTの効果を調べた.D-DT siRNA 導入細胞では,紫外線照射したコントロールや照射していない細胞よりもカスパーゼ-3活性が有意に増加した.また,D-DT siRNA導入細胞では,紫外線照射によるp53,PUMA,Bax,p-JNKおよびp-Badの発現を有意に増加させた.一方,紫外線によるp-Aktの発現増加はD-DT siRNA導入細胞では非常に低かった.以上の結果から,D-DTはp53,JNKおよびAktを抑制する系を介してアポトーシスを抑制することで光発癌を促進することが示唆された.
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