研究課題/領域番号 |
18K08697
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
西村 隆一 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 助教 (90710864)
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研究分担者 |
亀井 尚 東北大学, 医学系研究科, 教授 (10436115)
原 康之 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (50636008)
権田 幸祐 東北大学, 医学系研究科, 教授 (80375435)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 大腸癌肝転移 / 金ナノ粒子 / EPR効果 / ドラッグデリバリー / X線CT造影 |
研究実績の概要 |
大腸癌の増加に伴い、合併頻度の高い肝転移病変に対する診断および治療法の開発が急務となっている。臨床においてはX線CTが汎用性の高い検査として用いられているものの、解像度や造影剤の限界もあり、早期確定診断が困難なことが多い。大腸癌肝転移病変の治療方針は画像診断に基づいて決定されるため、その精度は非常に重要である。 我々は、独自に開発した金ナノ粒子造影法を用い、高分解能X線CT装置を用いることで、動物モデルにおける微小癌の検出を行ってきた。金は既存の造影剤よりも高いX線吸収値を持ち、高感度CT造影剤として期待できる。また、近年注目されているEPR(Enhanced Permiability and retention effect)を応用することで、薬剤送達の検討も行うことが可能である。金を基盤とした造影剤を用い、高分解能X線CT装置で腫瘍イメージングを行うことで、微小癌の検出が可能である。本研究では、①大腸癌肝転移モデルマウスを作成すること。②金ナノ粒子造影剤を投与し、EPR効果を用いて微小な大腸癌肝転移病変を検出すること。③血液流体力学を用いて効率的な薬剤送達法を検討すること。を目的としている。 以上の課題を実践により、肝転移に対する、化学療法薬や抗体薬の薬物動態を可視化および定量的に評価することが可能となる。本研究は実臨床へ応用可能な革新的診断・治療法を創出するとともに、新たな造影剤開発に結実するポテンシャルを有している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題であった①安定した大腸癌肝転移モデルマウスの作製を遂行した。 大腸癌肝転移モデルマウス作製には、ルシフェラーゼ発光ヒト由来結腸癌細胞(HCT116-luc)を用い、nude miceの脾臓への注入を行った。肝転移病変の検出はルシフェリン発光によるIVISイメージングシステムにより行った。腫瘍細胞数500000個を投与することで4週間程度で肝転移病変が確認できた。また、比較対象として、マウス由来直腸がん細胞(RBRC)を同様にnude miceの脾臓へ注入することで、マウス由来の肝転移病変の検出も行った。実際に500000個の細胞を投与することで、2週間程度で肝転移病変の検出が可能であった。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き研究課題である②金ナノ粒子造影剤のEPR効果を利用した腫瘍イメージング、および③血液流体力学を基にした、効率的な薬剤送達法の検討の課題を行う。
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