研究課題/領域番号 |
18K08912
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
佐藤 康次 金沢大学, 附属病院, 助教 (20613962)
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研究分担者 |
谷口 巧 金沢大学, 医学系, 教授 (30301196)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 人工呼吸管理 / コミュニケーション / ストレス |
研究実績の概要 |
人工呼吸器を装着している患者は気管挿管,気管切開をされているため,発声ができず患者とのコミュニケーションは困難である。そのコミュニケーションが不 良であると,患者の不安が増強し,医療者もストレスを感じ結果的に鎮静薬の投与量が増え,浅い鎮静レべルでの管理が困難になる。加えて人工呼吸中に受けた 強い不安,苦痛が長期にわたり患者を苦しめる集中治療後症候群(Post-intensive care syndrome: PICS)に陥る患者も増加傾向にあり,人工呼吸管理中のコミュ ニケーションと患者ストレス評価は早急に対応すべき課題である。本研究では1) 人工呼吸器患者への人工喉頭をとりいれたコミュニケーションアルゴリズムの 有用性の調査, 2)ICUで治療中の苦痛,ストレスと,唾液バイオマーカーとの関連性につき探索的研究を行う予定である。1)の課題については,まず言語聴覚 士とともに人工呼吸管理中のコミュニケーションアルゴリズムを作成した。またその中で使用する人工喉頭につき,これを使用する初心者でも効果的に発声でき るようなトレーニングプログラムを作成するため,初心者と熟練者にて音節,単語の発声困難度を調査する研究を立案しデータ収集を行った。結果については解析を終了した。加えて,気管切開を施行されている患者に対し,短期間の人工喉頭使用トレーニングで単語,文章がどの程度聞き取れるかを客観的に評価する研究 を立案し,現在症例を登録しデータ収集中である。2)に関しては人工呼吸中,ならびその後に患者が経験する苦痛,ストレスとされている口渇につき観察研究を行い,長時間にわたり認める患者は,せん妄発症と関連があることを明らかにした。口渇緩和について観察研究を継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年に行うべき課題について,症例数が予想通り集まっていないため目標数達成まで時間がかかっている。特に人工喉頭の使用は患者により受け入れが困難な場合があり,導入適応があっても断念せざるを得ないこともある。 唾液バイオマーカ測定に関しては採取,及びその保存方法につき,最も効果的に行うため検討を行っているところである。特に急性期の患者や高齢者は口腔内乾燥が強く,唾液分泌が少ないこともある。今後はそのような患者の特徴や対応を検討していきたい。
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今後の研究の推進方策 |
人工呼吸器を装着するような重症な患者は易疲労や抑うつ傾向にあり,コミュニケーションをとることに対し積極的になれない状況も多い。そのような患者に対 してはできるだけ簡便な方法をとることが望ましい。簡便かつ効果的な方法を生み出していく必要がある。 また重症患者の急性期で口腔内乾燥が著しい患者への対応策につき検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究参加の為の症例登録数が予想より少なく,バイオマーカー測定に費やす費用が少なかった。効果的に症例数を増やすよう改善検討していきたい。
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