研究課題/領域番号 |
18K09110
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
田仲 和宏 大分大学, 医学部, 准教授 (10274458)
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研究分担者 |
織田 信弥 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, 腫瘍遺伝学研究室長 (40333372)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 肉腫 / 染色体転座 / 融合遺伝子 / DNA二本鎖切断修復 |
研究実績の概要 |
t(11;22)転座はユーイング肉腫の約90%に存在し、これにより生じた融合遺伝子産物EWSFLI1が発がんに寄与するものと考えられている。同様の染色体転座は造血器腫瘍でも広く認められており、染色体転座は普遍的な発がんメカニズムのひとつと考えられるが、その分子機構は明らかにされていない。染色体転座の発生においては、DNA 二本鎖切断修復(DNAdouble strand break repair, DSBR)過程が重要な役割を演じていることは想像に難くない。高等哺乳動物細胞におけるDSBR については、A. 相同組換え(Homologous recombination, HR)、B. 非相同末端結合(Non-homologous end-joining, NHEJ)の経路が主に知られているが、これまで染色体転座はNHEJ により生起していると考えられてきた。しかしながら、申請者の研究グループのこれまでの研究では、転座陽性肉腫細胞において、HR 径路の活性化がみられることが観察されている。本研究では、HR により肉腫型染色体転座を再構成するin vitro モデル系を構築し、転座の基礎となるDNA 修復過程の詳細を演繹的に証明することを目的とする。 初年度の平成30年度では、代表的転座陽性肉腫としてユーイング肉腫細胞株を用い、HRおよびNHEJの両経路の遺伝子発現を網羅的に解析した。また、ユーイング肉腫細胞の詳細な核型解析を開始した。さらにHRおよびNHEJ両経路の構成因子の蛋白レベルの発現解析も開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた網羅的解析を実施でき、肉腫細胞の核型解析も開始できた。遺伝子発現解析の結果を蛋白レベルで確認する解析も行った。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の結果を踏まえ、核型解析と蛋白レベルの発現解析をさらに推進する。ユーイング肉腫以外の染色体転座陽性肉腫として、滑膜肉腫や横紋筋肉腫にも解析対象を広げ、肉腫型染色体転座in vitroモデル系構築に備える予定である。平行して同モデル系のためのコンストラクトの開発を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の旅費使用額が予定より少なかったため、38070円を次年度に繰り越すこととした。
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