研究課題
基盤研究(C)
プロサポシンは約520アミノ酸残基からなる蛋白質であり、聴覚系において,プロサポシンの先天性異常は蝸牛の形態異常を伴う著しい難聴を引き起こす。近年、プロサポシンの受容体としてG蛋白質共役型受容体(GPR)37およびGPR37L1が同定された。本研究では、マウス蝸牛におけるプロサポシン、GPR37およびGPR37L1の発現性について検討した。結果、GPR37およびGPR37L1は内有毛細胞のみならず外指節細胞にも発現していることが明らかとなり、プロサポシンの作用経路の一端が明らかとなった。
神経組織学
プロサポシンは中枢神経系において神経栄養因子として機能しており、プロサポシンの投与により、虚血による神経細胞の遅発性細胞死の抑制効果や、神経細胞再生の促進効果が報告されている。本研究により、蝸牛の恒常性に関わるプロサポシンの機能的意義の一端が明らかになり、またその受容体の発現性が明らかになったことから、外傷性聴覚障害治療へのプロサポシンの応用を考える上での基礎的貢献を果たすことができたと考えられる。