研究課題
既存の眼底カメラの撮像部に2画像(2波長)同時撮影が可能なカメラを設置し眼底の酸素飽和度測定用のためのハードを作成した後、施設IRB承認のもと、健常の若年ボランティアの協力のもと、網膜微小循環領域のOxygen Density Ratio (ODR)の測定が可能なプログラム(測定アルゴリズム)を構築した。今回の開発したシステムは、測定対象を赤血球とするため、かねてより保有する知財を基盤に、モルフォロジークロージングさらに線集中度フィルターなどの数理フィルターを適宜使用することにより、従来測定が困難であった網膜微小循環領域のODR測定と画像化を実現した。さらにその測定アルゴリズム検証のため、動脈相データを抽出し、健常ボランティアのなかからさらなる同意が得られた被験者に短時間の息とめを行い、指に装着した酸素飽和度計(末梢の酸素飽和度)と網膜の動脈相の酸素飽和度の相関を検討したところ、末梢の酸素飽和度の低下に伴い網膜の動脈相の酸素飽和度の低下(ODRの上昇)を観察できた。さらに今後上述のプログラムの検証を行うために、疾患眼のデータ取得も並行して行った。尚、本プロジェクトの推進にあたっては医工連携・産学連携の共同研究契約締結のもとプロジェクトを推進している。また臨床研究を行うにあたりUMIN Clinical Trials Registry (UMIN000017580)にも登録を完了している。
2: おおむね順調に進展している
初年度でシステムの基本設計を完成させ、論文化を行った。さらに今後のプログラムの発展を予測し、様々なデータの取得を行った。
次年度以降は年齢や屈折差で酸素飽和度に誤差が生じないかを検討し、同時に動脈相だけでなく静脈相や動静脈相の酸素飽和度測定および画像化プログラムを構築する。その上で酸素負荷を行った場合や、糖尿病網膜症や網膜血管閉塞症に加えCOPDなどの疾患眼についても検証を行い、汎用可能な多機能なプログラムの構築と検証を行う。最終的には本システムのライセンスアウトと医療機器としての実装を目指す。
初年度はハードウェアの調整に加え、得られたデータの解析を基盤に測定アルゴリズムの構築を主として行ったため、支出はかなり抑えられたが、次年度からライセンスアウトに向けた本格的なシステムの構築を行うため(前述)、上記の予算を必要とする。
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