研究課題
サイトメガロウイルス関連前部ぶどう膜炎(CMV-AU)は明らかな免疫低下のバックグランドのないアジア民族集団の中高年に好発するが、そのメカニズムは不明である。NK細胞は多様な細胞集団で抗CMV応答に重要であり、また、CMV感染はNK細胞の分化やNKG2C発現NK細胞の増多を引き起こすことが知られている為、今年度はCMV-AU患者NK細胞と抗CMV抗体陽性健常人のNK細胞レパトワの比較を行った。NK細胞を制御する主要なKiller cell Immunoglobulin-like ReceptorsやNKG2CとNK細胞分化マーカーを共染色したところ、CMV-AU患者と抗CMV抗体陽性健常人のあいだで3つのNK細胞サブセットの頻度に優位な違いがみられた。これらのサブセットはNK細胞分化マーカーとNKG2Cの発現に違いがあり、CMV-AUの病態と関連があることが示唆された。また本研究ではヒトとマウスで別々に使われている異なる2つのNK細胞分化マーカーをNK細胞分化と相関する他のマーカーとともに同時に解析した結果、この2つのマーカーを用いることでヒトNK細胞の分化段階が詳細にみられる可能性が示唆された。
2: おおむね順調に進展している
計画していた患者群と対象群でNK細胞レパトワとNK細胞分化マーカーのデータ取得が完了し、新たな解析法を用いたデータ解析も順調に進んでいる。
KIR遺伝子多型解析の準備を行い、KIR遺伝子型やKIR3DL1アロタイプの解析を進め、KIRリガンドとの関連を調べる。また、これまでの解析をもとにNK細胞サブセットのサイトメガロウイルス感染細胞に対する免疫応答をin vitroで解析していく。サイトメガロウイルスは培養中に遺伝子変異を起こしていく為に、従来より多くの研究に使われてきたラボstrainは臨床株とかけ離れているとことが明らかになってきている。臨床株に近い株を用いたin vitroの系を確立する。
次年度より所属研究機関が変更することとなった為、物品費は次年度へ移行することとした。必要な経費の一部を大学講座費からまかなうことができた。次年度使用額は平成31年度より移動した九州大学での研究のセットアップに用いる。
すべて 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件)
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