研究課題/領域番号 |
18K09467
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
八幡 信代 九州大学, 医学研究院, 准教授 (90315812)
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研究分担者 |
園田 康平 九州大学, 医学研究院, 教授 (10294943)
川野 庸一 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (90211185)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | サイトメガロウイルス前部ぶどう膜炎 / NK細胞 / KIR / HLA ligand / NKG2C |
研究実績の概要 |
R1年度はサイトメガロウイルス関連前部ぶどう膜炎(CMV-AU)のKIR遺伝子型とKIRリガンドの解析を行った。CMV-AU患者では活性型KIRの多いグループB KIRハプロタイプのホモ接合体頻度が健常コントロールと比べて有意に高かった。また、KIR3DL1リガンドであるHLA-B Bw4アリルのうち80Ile頻度がCMV-AUで高いことを確認した。 グループA KIRハプロタイプ頻度やその他の主要なKIRリガンドであるHLA-Cグループの分布には違いがみられなかった。 また、KIR3DL1アリルの解析も行った。CMV-AUに多くみられるHLA-B Bw4 80Ileを持つCMV-AU患者の90%以上にKIR3DL1高発現アリルが存在することがわかった。HLA-B Bw4 80IleとKIR3DL1高発現アリルを持つホストでは強い教育を受けた3DL1発現NK細胞サブセットが存在し、ウイルス感染によるHLA class I発現の低下によるNK細胞の強い活性化が予測される。またこれらの組み合わせは他のウイルス感染抵抗性に関与することが示唆されている。これらの結果より、CMV-AU患者にはCMV感染に対し強い免疫応答をもつNK細胞サブセットの存在が示唆されるが、これはCMV症候性初感染者の遺伝子解析の報告とは異なる結果であり、2つの病態の違いが示唆された。 一昨年あるサイトメガロウイルスタンパクがHLA-Eに提示され、NKG2C/Aに認識されること、臨床ウイルス株により提示タンパク配列が異なり、NKG2C/Aの応答に差があることが海外の臓器移植関連グループにより示唆された。そこで診断目的で採取した患者眼内液中ウイルスタンパクの配列を解析し、臨床ウイルス株タンパク提示細胞を用いたin vitroの機能解析の系の確立も開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通りKIR遺伝子型とKIRリガンドの解析を完了し、遺伝子型より病態に対する示唆が得られた。 In vitroの系は一昨年海外の研究グループから報告されたウイルスタンパク多型とNK細胞応答を参考にしたCMV-AUのNK細胞機能解析のin vitroの系を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
計画通り進める。KIR-HLA遺伝子解析さらに進め、KIRとHLAの相乗効果についての解析も可能なように、共同研究を計画している。 眼内のウイルスタンパク多型・NKG2C多型とNK細胞抗ウイルス免疫応答について解析を進める。得られたデータよりCMV-AU患者のNK細胞免疫応答を包括的に解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
九州大学へ移動したことで、共有できた試薬があった為。
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