研究課題
サイトメガロウイルス前部ぶどう膜炎(CMV-AU)は明らかな免疫低下のないホストに発症する新しいCMV関連疾患で、中高年のアジア民族に好発する。抗CMV免疫応答に重要なNK細胞を制御するKiller cell Immunoglobulin-like Receptors (KIR)とそのリガンドであるHLA class Iの多型の分布をCMV-AU患者で調べ、その機能的意義について解析した。最終年度は遺伝子解析データとNK細胞解析データの包括的解析を行った。CMV-AU患者では健常人と比べKIR3DL1の強いリガンドであるHLA-B Bw4 80Ileアレルグループ頻度が有意に高かった。さらにCMV-AU患者の86%はHLA-B Bw4 80Ileと強いinteractionを持つKIR3DL1 highアレルを持つことがわかった。CMV血清陽性者ではCD57とCMV UL40を認識するNKG2C共発現NK細胞頻度が高く、これらのNK細胞が自己のHLAを認識する抑制型KIRを共発現する。CMV-AU患者のNK細胞の分化マーカーCD57、KLRG1、主要なKIR、NKG2Cを共染色し、CMV血清陽性健常者と比べた。CMV血清陽性健常者ではCD57+KLRG1- NK細胞頻度が最も高いいケースが多かったのに対し、KIR3DL1 highアレルとHLA-B Bw4 80Ileを持つCMV-AU患者ではCD57+KLRG1+NK細胞頻度が高く、これらのNK細胞はNKG2C、KIR3DL1を高頻度に共発現していた。強いinteractionを持つKIR3DL1 highアレルとHLA-B Bw4 80Ileの存在下で増加するNKG2C+CD57+KLRG1+ NK細胞が疾患の発症機序と関連することが示唆された。
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