研究課題
基盤研究(C)
本研究では、ステンレススチール製矯正用アーチワイヤーに条件の異なる2種類のDLC成膜条件で成膜し、水素含有量の定量を行い、矯正用ブラケットとの摩擦特性および高密着性、高柔軟性を検討した。その結果、2種類のDLC成膜の水素含有量はそれぞれ平均で23%、27%であり、ともに成膜厚さは0.3μm程度であった。摩擦特性、高密着性および高柔軟性は1種類のDLC成膜ワイヤーで優れており、マルチブラケット装置による歯の移動を考慮した際、効率的な材料となることが考えられた。
歯科矯正学
DLC成膜はマルチブラケット装置による歯の移動を考慮した場合、矯正用ブラケットスロットをアーチワイヤーが滑走する際、アーチワイヤーのたわみによりDLC層の剥離や破壊を認めることがある。本研究で用いた成膜条件のうち、1種類のDLC成膜ワイヤーでアーチワイヤーへの高密着性、高柔軟性を示すDLC層の成膜を認めた。このことにより実際のマルチブラケット装置での歯の移動の際にも剥離や破壊を生じることなく摩擦の軽減が達成された。