研究課題/領域番号 |
18K09958
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研究機関 | 吉備国際大学 |
研究代表者 |
籔脇 健司 吉備国際大学, 保健医療福祉学部, 教授 (20347280)
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研究分担者 |
中村 裕美 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (20444937)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 軽度認知障害 / リバージョン / 役割遂行 / 環境支援 / 前向きコホート |
研究実績の概要 |
2019年度は前年度に引き続き,研究1の横断調査として,物忘れ相談プログラムに含まれるTDASプログラムの実施,Lifecoder GSによる7日間の身体活動量の測定,基本的・医学的情報と役割遂行,CEQ-SFの質問紙調査を実施した. 2018年7月より開始した研究1の横断調査は2019年10月に終了し,対象者は73名であった.そのうち,TDASによる調査で正常域と判定された者が31名(42.5%),軽度認知障害(MCI)の可能性が高いと判定される予防域の者が22名(30.1%),認知症域の者が20名(27.4%)であった.現在,これらの対象者間の役割遂行や環境要因,身体活動量の比較検討を進めている. 研究1の結果をふまえ,MCIの可能性が高いと判定される予防域の者22名に研究2の縦断調査に対する協力依頼を行い,18名から同意が得られた.この18名に6か月間隔で研究1と同内容の調査を実施している.初回調査から6か月後のTDASによる調査で,正常状態に回復(リバート)したと考えられる正常域の者は6名(33.3%),変化なく予防域の者は7名(38.9%),認知症に移行(コンバート)したと考えられる認知症域の者は5名(27.8%)であった. Shimadaら(2017)の日本での報告では,MCIがある者の43.7%が4年後の調査でリバートしていたが,本研究では短期間で一定数の対象者が変化したと考えられる.対象者は通所介護などの社会資源を利用している者がほとんどであるため,支援内容との関係も検討しなければならない. 対象者の追跡状況であるが,長期の者で既に18か月後(第4回)の調査を終えている.縦断調査は最長24か月で終了するが,サンプル数の問題による検出力の低下や調査時期の違いによる交絡因子を考慮しながら,対象者の役割遂行や環境要因,身体活動量の経時的変化を検討していく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は,横断研究と縦断研究(前向きコホート)で構成される.横断研究は,スムーズに開始されたが,予定された対象者数には達していない.また,縦断研究は,軽度認知障害(MCI)の可能性が高いと判定される者が対象となるが,条件に該当した22名のうち,18名(81.8%)から同意が得られ,調査を進めている.本調査では,3台のMSP-1100を使用するため,同時にデータ収集ができるのは3か所に限定されるが,横断研究の終了により,研究協力施設を追加できる状況となっている.
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今後の研究の推進方策 |
縦断研究のサンプル数を増やすため,改めて,法人内に関連施設を多くもっている施設に調査依頼を行う.また,MSP-1100を所持している研究機関との連携体制も構築できているため,協働しながら研究フィールドの開拓とデータ収集を進めていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の流行により,県外移動制限や会議開催自粛となり,関連の予算を執行しなかったため. 翌年度に繰り越した予算は,Web会議の増加を見越した関連機器の購入や環境整備に充当する.
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