研究課題/領域番号 |
18K09992
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
川崎 唯史 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (90814731)
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研究分担者 |
松井 健志 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究支援センター, 部長 (60431764)
大北 全俊 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (70437325)
佐藤 靜 大阪樟蔭女子大学, 学芸学部, 准教授 (80758574)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 脆弱性 / 研究倫理 / 弱者 / 医学研究 / 被験者保護 |
研究実績の概要 |
前年度に『生命倫理』誌に掲載された脆弱性に関する総説的論文に基づいて、今年度は脆弱性の意味と定義に関する原著論文の作成を主な目的として研究および議論を進めた。 7月には研究倫理学分野の研究者も交えて科研研究会を開催し、「研究倫理における脆弱性の諸含意」と題した論文草稿について議論を行った。同研究会では、分担研究者の大北が「HIV/AIDSの分子疫学研究及び公衆衛生利用とコミュニティの脆弱性への懸念について」と題した発表も行い、個別領域における脆弱性の具体的問題について議論した。 原著論文を年度内に完成させるには至らなかったが、研究会での議論およびその後の検討を通じて、論文の内容はほぼ確定させることができたので、今後海外の学術雑誌に掲載されるまで本科研のメンバーで協力することを確認し、最終年度を終えることとなった。 その他の実績として、研究代表者の川崎は、脆弱性に関係する重要な哲学者であるE.レヴィナスと医療の関わりについてレヴィナス協会大会のシンポジウムで提題を行ったのに加えて、同じく脆弱性に関してしばしば言及されるM.メルロ=ポンティの倫理学に関する単著の中で、メルロ=ポンティの主体性に関する議論が脆弱性をめぐる哲学的研究に寄与しうる可能性を示した。 研究分担者の松井は、COVID-19のワクチン接種に関する国内の政策について、脆弱な集団とみなされる高齢者への優先接種をめぐる考察を行った。 研究分担者の佐藤は、人間の脆弱性と密接に関係するケアワークの問題について、アリストテレスの奴隷論の再解釈を通して考察した。
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