入浴死の病態解明及び鑑別診断法の開発を目指して温水を吸引して溺死する過程で変動する遺伝子をDNAマイクロアレイを用いて網羅的に解析し,変動がみられた遺伝子について定量的RT-PCR法にて確認するとともに,法医解剖例の肺試料をおいても検討した。温水溺死マウスを作製して検討したところ,38℃温水溺死では793遺伝子,41℃温水溺死では743遺伝子に変動がみられた。そのうち,水チャネルaqp5及び熱ショック蛋白hsp90aa/abについてはqRT-PCRにおいても同様の結果が得られた。さらに,法医解剖試料を用いた検討でも同様の結果となり,浴槽内溺死例の法医学的診断マーカーとなる可能性が示唆された。
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