研究課題/領域番号 |
18K10312
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
伊豆倉 理江子 九州大学, 医学研究院, 学術研究員 (80805292)
|
研究分担者 |
木下 由美子 宮崎大学, 医学部 看護学科, 教授 (30432925)
山下 貴範 九州大学, 大学病院, 助教 (00807381)
野原 康伸 九州大学, 大学病院, 助教 (30624829)
朴 珍相 九州大学, 大学病院, 学術研究員 (20749949)
樗木 晶子 九州大学, 医学研究院, 教授 (60216497)
中島 直樹 九州大学, 大学病院, 教授 (60325529)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | Patient reported outcome / ePRO / 消化器がん / システム / 胃がん |
研究実績の概要 |
近年、糖尿病患者のがん罹患率が非有病者に比べ上昇傾向を示し、長期療養を要する糖尿病併存のがん患者数が増していくにつれ、多面的で長期的なセルフケアを視野に入れた医療の重要性が高まっている。そして、医学的・客観的な指標だけでなく患者の主観的指標(Patient Reported Outcome: PRO)の評価に基づいた医療は、結果的に患者のQOLの維持・向上に繋がると期待されている。本研究の目的は[1]糖尿病併存の消化器がん患者が周術期から療養期にわたり自らの機能やQOLを評価・申告する信頼性・妥当性の高いpatient reported outcomes(以下、PRO)評価表を開発し、[2]それを電子化して継続的に収集できる電子版PRO(以下、ePRO)評価システムを開発・検討することであり、本年度は目的[1]に対する研究を行った。 がん腫を胃がんに限定し、周術期のPRO指標の選定においては標準看護計画やクリニカル・パスに加え、テキストマイニング手法による胃がん患者のテキスト情報(例:症状や訴え等)分析を含めて検討し、PRO評価表の質向上を目指した。一方で療養期においては、主に過去の研究論文等からPRO指標を選定したが、情報リソースが少なく各PRO指標に対する整合性が評価できていない。これにおいては次年度以降に実施するePRO評価システムを用いた介入調査結果を考慮して検討していく必要がある。 そして、最終的には疾患特異的なPRO指標(例:QOL)を組み合わせ、周術期から療養期にいたる縦断的なPRO評価表として最終化し、電子端末上で評価が可能なPRO評価システムの開発を目指す。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
周術期のPRO指標の選定において、クリニカル・パス等に基づいた縦断的なPRO評価表(案)までは当初の予定通りに進んだ。しかし、テキストマイニング手法による患者テキスト分析を用いたPRO評価表(案)の検討段階において、電子カルテから糖尿病をもつ胃がん患者を自動的に抽出する(phenotyping)作業に時間を要したため、その後のテキストマイニング手法を用いたテキスト情報の分析が遅延し、現在も時系列に選定・配置した各PRO指標の整合性に対して検討を続けている。そのため、電子版PRO評価システム(ePRO)開発への従事が当初の予定よりやや遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度後半にePRO評価システムを用いた介入調査を開始できるよう、システム開発を進めるとともに、本学の倫理審査委員会(介入研究)への承認許可を得る。 PRO評価に基づく具体的な看護介入については、通常の診療や看護業務に支障をきたさない範囲で実施することが望ましく、引き続き診療科と十分に協議していく必要がある。 また、各看護師の技量によるPRO評価への影響をなるべく避けるため、対象診療科に従事する看護師に対して看護介入を実施するPRO指標とその看護展開について説明会を複数回実施する。 また、今後の介入調査の進捗を見て胃がん以外のがん腫に対するePRO評価も実施していく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度は、本年度に実施したPRO評価表作成に向けた検討の成果を学会またはジャーナルに投稿する予定である。また、次年度はePRO評価システムの開発とこれを用いた介入調査を予定しており、これに伴う備品(タブレット)等の購入を予定している。
|