外来化学療法を受けるがんサバイバーのストレングス尺度の開発

2018 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 18K10355
• 研究機関: 香川県立保健医療大学
• 研究代表者: 岩本 真紀 香川県立保健医療大学, 保健医療学部, 准教授 (80314920)
• 研究分担者: 藤田 佐和 高知県立大学, 看護学部, 教授 (80199322)
• 研究期間 (年度): 2018-04-01 – 2022-03-31
• キーワード: ストレングス / 尺度開発 / がん看護

研究実績の概要

外来化学療法を受けるがんサバイバーは、自宅での生活を基盤に様々な問題を自分の力で対処し、自分らしく生きていこうとしている。そのため、がんサバイバーががんやその苦悩にとらわれず、自分らしい生き方を模索できるように、ストレングスを基盤とした看護援助方法について検討した。本研究では、外来化学療法を受けるがんサバイバーのストレングス尺度を開発することを目的とし、がんサバイバーの力をストレングスの視点から測定し、ストレングスを基盤とした看護援助の評価に役立てようと考えている。
平成30年度は、尺度の原案を作成するために文献検討を行った。先行研究では、外来化学療法を受けるがんサバイバーのストレングスについてはほとんど研究がなされていないため、ストレングスに関する書籍や文献を広く収集し、ストレングスの質問項目について検討した。ストレングスの構成概念としては、「方向性」「エネルギー」「結びつき」「強み」「拡張」の５つが明らかにされている。この５つの構成概念を参考にし、初発がんサバイバーや再発または転移を経験したがんサバイバーのストレングスについての先行研究を基盤に外来化学療法を受けるがんサバイバーのストレングスに即していると思われる具体的な項目を抽出し、アイテムプールを作成した。
今後は、がん看護に関するエキスパートナースに対して、インタビュー調査を行い、質問項目の内容に関する意見を聴取し、質問項目の選別、表現の修正を行い、洗練化させる予定である。

現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ストレングスの概念は，精神障がい者や高齢者を対象とする研究に用いられており、がんサバイバーを対象とした研究には適用されているとは言えない状況である。そのため、広く文献検討し、他疾患患者に多く適用されているストレングスの概念を、本研究の対象である外来化学療法を受けるがんサバイバー用に変更していくことに時間を要した。

今後の研究の推進方策

がん看護専門看護師や認定看護師など，がん看護に対するエキスパートナースへのインタビュー調査を実施し、妥当性を検討することにより、スムーズに研究を推進でき、研究成果の質を保障することになると考えている。

次年度使用額が生じた理由

今年度は文献検討に時間を要し、実施予定であったインタビュー調査ができなかった。
そのため、次年度にインタビュー調査を実施する予定であり、さらに研究の質を保証するために、がん看護専門看護師などがん看護のエキスパートナースに対しても調査を行う予定である。そのための旅費や謝礼、逐語録作成などに使用する予定である。