研究課題
基盤研究(C)
歩行中に方向転換を指示された時に頭部を指示された方向へ向けるまでの反応時間について、認知症高齢者の特徴を調べた。認知症高齢者の反応時間は健常高齢者に比べ明らかに遅延し、認知症スクリーニング検査(MMSE)と歩行中のバランス検査(TUG)で有意な相関性が認められた。一方歩行速度については相関性が認められなかった。このことから、認知症高齢者においては、歩行中の急な出来事への対応や歩行中に別なことを行うような課題に対する適応性に問題があることが示唆された。
リハビリテーション科学
認知症者は、記憶障害のみならず日常生活での実効機能といわれる状況を判断して適切に対応する行動が障害される。その機能を歩行中の方向転換という日常最も頻繁に行われる活動を対象に、指示された方向へ頭部を定位するまでの反応時間をパラメータとして同定した。反応時間と認知症スクリーニング検査と歩行中のバランス機能に相関性が認められたことは、方向中の方向転換課題における反応時間を調べることで認知症の早期発見に繋がる可能性が示唆され、神経診断学的意義や疾病予防対策に寄与する可能性の観点から社会的意義がある。