研究課題/領域番号 |
18K10783
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
西村 正彦 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60597889)
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研究分担者 |
片桐 千秋 北海道大学, 薬学研究院, 特任助教 (00443664)
石内 勝吾 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10312878)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | pusher症候群 / 装着型サイボーグ / リハビリテーション / 安静時脳活動 / 機能的ネットワーク解析 / resting state fMRI |
研究実績の概要 |
pusher症候群は脳出血や脳梗塞、脳腫瘍によって頭頂葉から側頭葉、基底核の損傷を有する患者に合併する症状の一つで、10~20%の患者に見られる。pusher症候群は右半球、左半球どちらの半球の病巣でも出現する。pusher症候群を有する患者は、自身で姿勢を保持することが極めて難しいため転倒の危険性が高く、自立した歩行の獲得が困難である。具体的には健側上肢や下肢で過度に床や手すりを押しつけ、患者は麻痺側へバランスを崩し、座位や立位を保持することができない。この姿勢保持の障害の修正は難渋でリハビリテーションを阻害し、患者の日常生活の自立を妨げている。 本研究ではpusher症候群のリハビリテーションに装着型サイボーグHAL (Hybrid Assistive Limb)を利用している。装着型サイボーグHALは患者の臀部及び大腿部に貼り付けられた電極を介して随意運動時に発生する生体電位信号をエンコーディングし、膝関節や股関節の単独運動や起立動作、歩行動作の補助を行う外骨格型の非侵襲的なサイボーグである。運動麻痺があり、随意運動が低下している患者においてもHALによって下肢の機能が補助される。 令和5年度は12例のpusher症候群を疑う患者のHALリハビリテーションと脳活動計測を行った。HALリハビリテーション後はpusher症候群特有の健側上下肢での過度に押す動作が軽減され、姿勢の安定性が増した。 Scale for Contraversive PushingとT1及びT2強調画像を用いて、pusher現象の程度およびpusher症候群に関連する責任病巣の解析を行っている。また、安静時機能的MRI画像を用いて、pusher症候群における機能的ネットワークの特徴について分析している
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナの影響もあり、入院患者自体の低下がみられ、pusher症候群を有する患者の入院、リハビリテーションを実施する機会が少なかったため、解析に必要な症例数を集めることが難しく、効果の判定などの解析に進むことが難しかった。
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今後の研究の推進方策 |
pusher症候群のHALリハビリテーションの有効性が得られていることから、研究の方向性については修正の必要はないと考えている。 今年度はこれまで得られたデータを基にpusher症候群の症状と責任病巣との関係、機能的ネットワーク解析によるpusher症候群の安静時脳活動の統計学的解析を行い、HALリハビリテーションのpusher症候群への有効性について、分析を行い、紙面上での発表の準備をする。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究データの解析後、紙面発表を予定していたが、解析の進捗が遅れ、論文投稿費、印刷費に残金が生じた。 使用計画 消耗品の購入、論文執筆のための費用に充てる
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