研究課題/領域番号 |
18K10922
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
千足 耕一 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (70289817)
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研究分担者 |
中原 尚知 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (90399098)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 帆掛けサバニ / 伝統文化 / 技術伝承 |
研究実績の概要 |
南西諸島地域で漁撈等に用いられてきた伝統的な木造帆掛けサバニは、アメリカ軍が残したエンジンの搭載や、それに伴う船体の大型化やFRP化など、時代の流れの中で変化し、サバニ大工も減少して、その造船技術や操船技術の伝承が途絶えそうになっていた。2000年にサバニ帆漕レースが開始されるまでの期間における伝統的な木造の帆掛けサバニやその造船に関して記載された書籍・新聞や雑誌の記事・論文等の文献を調査するとともに実践活動についての聞き取り調査の結果を記述することにより、帆掛けサバニの造船および操船の継承と復興の過程を考察した。また、サバニの造船・操船技術が伝承されている事実の背景を検討するとともに、伝統的漁船がレジャーボートへ変化した背景について考察した。そのために、サバニ大工、サバニ愛好家、糸満市教育委員会等から文献および資料を得るとともに、聞き取り調査を実施した。収集した文献および資料を時系列に整理した。著書や雑誌記事、新聞記事などにサバニの記述を残してきた人々は、サバニの美しさに着目し、無形文化財ともいえる船大工の造船技術を残したいと考えていたことが明らかになった。また、船大工も自分たちの造船技術を継承したいと考えていたことが明らかとなった。これらが、新聞や雑誌、書籍などに記録されるとともに、ラジオ放送なども貢献していたことが考えられた。そして、木造帆掛けサバニの造船技術と共に、操船技術を残そうとしたことが実際に木造の帆掛けサバニが活用されるようになるための非常に重要なきっかけであったと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの影響で、聞き取り調査や現地調査のための出張が出来なくなり、調査活動が十分に実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度としての本年度は、これまでのデータと本年度の前半に予定している聞き取り調査等の結果を合わせて、論文化するとともにホームページ上で成果を公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの影響で、出張に用いる予定であった旅費の支出が減少した。大学の出張の方針が拡大された際に、調査のための出張を行う。
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