研究実績の概要 |
1.スルフォラファン(SFN)はトリプルネガティブ(TN)乳癌由来の細胞に強い増殖抑制効果を示し、細胞周期をG1期に停止させ、分子レベルではAKT-mTORのシグナルを抑制し、Baxの発現を高めてアポトーシスを誘導した。またSFNの経口投与は、TN乳癌細胞を移植した担癌ヌードマウスでの腫瘍増殖を著明に抑制した。このことはSFNは乳癌の中でも予後不良で治療の選択が化学療法に限定されているTN乳癌の発症および治療にも応用できる可能性が示唆された(論文投稿中)。 2.シアニジン、デルフィニジン (DEL)、マルビジン、ペチュニジンの4種のアントシアニンの抗腫瘍効果について評価した。DELのIC50は25μMであったが、他の3種は最大濃度180μMであってもIC50に到達しなかった。また、DELはサブタイプにかかわらず乳癌細胞に対して、同程度の増殖抑制効果があることが判明した。現在、DELについて細胞周期解析、分子標的解析を行っている。 3.プロシアニジン6種(A1, A2, B1, B2, B3, C1)およびその構成分子である(±)カテキンおよび(±)エピカテキンの計10種について、サブタイプの異なる乳癌細胞5種、即ちホルモン受容体 (ERおよびPR)とHER2(ER/PR/HER2)状態のことなる、MCF-7 (+/-/-), T47D (+/-/-), SK-BR-3 (-/-/+), MDA-MB-468 (-/-/-), MDA-MB-231 (-/-/-)を用いて抗腫瘍効果をスクリーニングした。すべてのプロシアニジンおよびカテキンは、MCF-7およびMDA-MB-231細胞株の細胞増殖をわずかに阻害したが、それらのIC50は100uMの用量でも到達せず、 MCF-7およびMDA-MB-231細胞株以外の細胞株にはどの成分もまったく増殖を抑制しなかった。
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